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2024.05.07 16:45

法曹界でのジェンダーギャップ事情 女性弁護士が増えても残る男女格差と偏見

リリースベース(松村)

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NHKの朝ドラで日本初の女性弁護士の話が注目されているが、舞台となった時代から90年ほどが経過した2024年4月1日現在、日本弁護士連合会の女性会員(女性弁護士)は9028人となり、ようやく2割を超えるにいたった。だが、男女格差や女性への偏見は、ドラマに描かれているような昭和初期の様子とさほど変わらず、いまだに根強いようだ。

一般向けの弁護士紹介サイト「弁護士ドットコム」などを展開する弁護士ドットコムは、同社の会員である弁護士400人を対象に法曹界でのジェンダーギャップに関するアンケート調査を実施した。それによると、法曹界で性別による格差を感じるかという質問に、全体の18.8パーセントが「よくある」、38パーセントが「ときどきある」と答えている。

女性弁護士に限ると、「よくある」が29.1パーセント、「ときどきある」が48.9パーセントと、その割合はぐっと上がり、男性の側は減っている。

どんなときに格差を感じるかとの問いには、もっとも多かったのが「依頼者との関係」だった(61.7パーセント)。依頼者側の態度が、女性弁護士と男性弁護士とで変わるというものだ。男性弁護士のほうが威厳があると思われたり、女性だからと軽く見られたり、「彼氏いる?」などセクハラめいたことを言われたり。次いで多かったのが育児や介護などによる生活面での体力差(59.5パーセント)。「女性は出産や育児で辞めるから採用したくない」と何度も言われたり、実際に育児のために解雇された人もいたという。

また、男女別に質問したところ、男女の意識の差がもっとも大きかったのが同業者との関係だった。司法研究所の教官から、同じ成績なら間違いなく男性をとると「明確に」言われた、相手方の男性のベテラン弁護士から「この女弁護士が!」と言われたなど、耳を疑う意見も聞かれた。

それに対して男性弁護士からは、検察官採用は女性が優遇されていた、クオーター制度で助成会員を役職に就けるといった女性登用に関する不満もあった。だが「社外役員の選考では女性であることが有利に扱われていると感じますが、半面、女性であること以外に期待されていないような虚しさもあります」という意見もあった。

いまだ日本は男性社会。あらゆる分野で女性への偏見が幅を利かせている。だが、せめて法曹界は「法の下の平等」を率先して示してほしい。

プレスリリース

文 = 金井哲夫

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